いいじまの日々

“ひぐらし”古民家再生 【前編】

2025.05.29
ハルカ さん

飯島に移住して5年。この春から飯島町内で居を移し、新しい暮らしを始めたハルカです。
この3年近くの間、古民家と家づくりが大好きなパートナーと共に、古民家再生の道をゆっくりと歩んできました。この古民家を、私たちは“ひぐらし”と呼んでいます。引っ越しを機に、取得から入居までの約3年の道のりを振り返って記しておきたいと思います。

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飯島町に移住して、まずは賃貸物件で古民家暮らしをスタートしていました。その後も空き家らしい古民家をあちこち見て回っては、豊かな暮らしへの夢を膨らませていた私たち。セルフリノベーションしたくて古民家を探している、と役場の担当者さんにも相談していました。いくつも物件を紹介していただいた中で、のどかなエリアにある農地付きの古民家に心を決めました。

庭の整備作業を始めた頃

築年数ははっきりとしませんが、明治期の建築と思われる農家さんの古民家です。石場建て、通り土間や大梁、貯蔵用の室(むろ)など、魅力を感じる要素がたくさん。また、土蔵や味噌蔵、2階建ての小屋や倉庫も付属しています。それらに大切に納められていた農具や養蚕道具、箪笥や樽などから、丁寧に暮らしを繋いでこられた様子がよくわかります。先人たちの暮らしを想像しては、そこに自分を登場させたりして、楽しい気持ちになっていました。

納屋に残されていた道具

取得の手続きは、色々な方にお世話になりながら穏やかに進みました。無事に手続きを終えた日の夕方、古民家を見にきてみると、隣地の檜林から聞こえるひぐらしの澄んだ声に心が癒されました。

どんなふうにこのお家に手を入れていこうか、どんな暮らし方をしたいのか…私たちが考えていたのは、

「古民家本来のよさを活かしたい」

「地域や自然環境と調和したい」

「土地や動植物たちにもやさしく受け入れてもらえるような暮らしでありたい」

ということでした。

昨年、冬の様子

具体的には、

・昭和中頃にリフォームされたアルミサッシを撤去して、古い木製建具を再利用する。

・解体で出た古材・廃材を活用する。

・地域材(伊那谷産の赤松、落葉松、檜、栗、杉)を活用する。

・家の寿命を長く保てるよう、調湿作用のある自然素材(土壁、本畳、木製建具、障子など)を使用する。

・薪ボイラー、太陽熱温水器、薪ストーブなど、化石燃料に頼らないエネルギーを併用する。

・空き家期間中に荒れてしまっていた敷地内外の手入れをし、風や水の滞らない環境づくりをする。

ということを進めてきました。

1年目は、残置物の撤去整理、屋内掃除。そして庭・畦・法面の整備作業を進めました。
茂りすぎていた雑木や蔓草を片づけると、すっきりとよい気が通ります。初めは気づかなかった祠(ほこら)も見えるようになり、作業のたびにお参りさせてもらっていました。

蔵には戦前や明治期の書物が残されていたり、農具小屋には歴史資料館でみるような、竹や藁で作られた道具たちが眠っていたり。作業の合間に、先人に思いを馳せる楽しみがたくさんありました。

【後編】では2年目以降のお話をしていこうと思います。

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この記事を書いたライター
ライター

ハルカ

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