【農家さんの座談会 vol.2|後編 】[農家×移住×夫婦]夫婦で営む、農業とこれからの暮らし

今回は飯島町へ移住し、農業を営む二組のご夫婦にお話を伺いました。
後編では、夫婦で農業に取り組む中での役割分担や支え合い、体力面での課題と向き合いながら続けていくための工夫、そしてこれからの暮らしの展望や、移住や就農を考えている方に向けたメッセージについて、農家としての日々を送る皆さんだからこそ語ることのできるリアルなお話をお届けします。
【座談会メンバー】


工藤 夏樹(くどう なつき)さん・奈津美(なつみ)さんご夫妻
「アスパラ農園 なつぞら」にてアスパラガスを栽培。農園名は、お二人の名前に「なつ」がつくことに由来しています。ハウス面積は20アール。2020年2月に飯島町へ移住。
HP:長野県アスパラガス農家|なつぞら
Instagram:アスパラ農園 なつぞら (@natsuzorafarm)
ECサイト:アスパラ農園なつぞら - 産地直送通販 食べチョク


福井 守(ふくい まもる)さん・あかねさんご夫妻
地域おこし協力隊として1年間の研修を経て独立。テッポウユリ(面積約60アール)、米(100アール)、ユーカリを栽培するほか、農業法人でも勤務。2016年に飯島町へ移住。
夫婦で農業をするということ
奈津美さん: 私たちの場合、最初はすべて一緒に作業をしていましたが、それぞれの判断基準が違うこともあり、今はある程度分けるようになりました。お互いの得意なところを活かしながら役割を決めています。
夏樹さん: 例えば、妻は観察力があり、小さな虫や作物の細かな変化にもよく気づくの任せていたり。農薬のことなどは相談しながら進めていますが、それぞれの担当を決めて、お互いに口を出さないようにしていますね。お互い相談があれば、食事の時間など、日常の中で話し合いができるのも、夫婦で仕事をする良いところだと思います。

守さん: 逆にうちはそこまで相談はしないですね。
あかねさん: 経営のことや方針は夫に任せていて、私は主に実務を担当しています。揉める原因にしたくないので、役割を決めて進めるようにしています。 その時の状況にもよりますが、だいたい一緒に作業をしています。
奈津美さん:あとは、うちはシーズン中はあえて休みを別々に取るようにしています。仕事中もずっと一緒にいるので、その方がリフレッシュできますし、お互い一人の時間も大切にしたいというタイプなので。農業は休みがないので、一人ずつ交互にしか休めないという理由もあります。
あかねさん: 私たちは一緒に休みを取ることが多いですね。一緒にやっているからこそ、休みを一緒に調整できるのもいいところかなと思ってます。混んでいない平日に出かけたりできるのも良いなと思いますし、冬はそれぞれ別の仕事をすることもあるので、距離感もちょうどいいですね。
農業を続けていくということ
守さん: 自分は体力があると思っていましたが、実際にやってみると農業で使う体力は全然違うなと感じました。山登りをしていた頃とは体の使い方がまったく違いますね。

夏樹さん: 学生の頃は野球や登山、ダイビングもやっていましたが、それとは別物だと思います。使う筋肉が違う感じがしますね。
奈津美さん: アスパラは1コンテナ13キロくらいまでしか入れられませんが、それでもかなり重く、水分も多いのでコンテナを運ぶのは大変です。
あかねさん: ユリも軽そうに思われがちですが、とても重いです。長くて茎も太いので、運ぶのはなかなか大変ですね。
昨年、夫が体調を崩して入院したことがあり、その時に一人でやるのは本当に難しいと感じました。お手伝いも頼みましたが、それでも全部は任せられないので大変でした。何かあった時に支え合える人がいるのは大きいですね。
奈津美さん: 私も一人だったらくじけていたと思います。メンタルがかなり強くないと、一人はきついですね。夫婦だからできていることかなと思っています。
守さん: 入院した時に、本当に「体が資本」だなと思いました。体を壊したら、その時点で収入が途絶えてしまう。サラリーマンのように代わりがいるわけではないので、自分が動けなくなったら仕事が回らなくなってしまいますからね。

農業とこれからの暮らし
守さん: 農業はこの先も続けていくと思いますが、体力の問題はやっぱり考えます。だからこそ、農業だけではなく何かと組み合わせていけることを探していきたいなと今は思っています。
あかねさん: 実は移住する時から、カフェのようなことをやってみたいという気持ちもあって。地域の人に支えられてここまで来たので、地域の人の役に立てることが少しでもできたら嬉しいですね。農業をベースに、何かを組み合わせていけたらいいなと私も思っています。
夏樹さん: まずは、10年や20年先もしっかり続けていくこと。それが地域への恩返しになるのかなと思っています。
奈津美さん: 農業でしっかり食べていきたいと思いつつ、先のことも少しずつ考えていきたいです。顔が見える関係の中で、「アスパラといえば工藤さんだよね」と言ってもらえるようになれたら嬉しいですね。

守さん: 移住を検討する方は「住宅と仕事」、この二つが一番大変だと思います。縁も大きいですよね。移住1年目の時、夜遅くに「あの家、明かりがついてない」というのがきっかけで、見つけた空き家があり、話が進んだこともありました。この辺りは、表に出ていない空き家も多いと思います。
奈津美さん: あとは人との付き合いもすごく大事です。地方は付き合いが濃いので、都会のようにひっそり暮らせるイメージで来るとギャップがあるかもしれません。自治会のことや草刈り、水路の管理なども地域で協力して行っています。
あかねさん: あとは興味があるなら、一度来てみるのがいいと思います。飯島町にはお試し住宅もありますしね。おすすめは冬に来ること。冬の寒さを体感することも大事かも。
夏樹さん: 「なんとかなる」と思える人と、「やっぱり厳しいな」と思う人が分かれると思います。悩んでいるなら、一回来てみるのが一番だと思います。自分たちも実際に来てみて、移住の話が進んだので。
守さん: 農業も専業だけでなく、兼業という選択肢もあります。いきなり畑を持つより、農業法人に入って経験するのも一つの方法だと思います。
あかねさん: 最初から仕事を決めすぎず、来てみて住めそうか、仕事がありそうか、農業が合いそうか、そこから選ぶのがいいのかなと。もし合わなければ、何度でもやり直せますし、悩みすぎて動けないのはもったいないと思っています。

photo by IIJIMA NOTEフォトアンバサダーmiwaさん
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