いいじまの日々

【そば道場 ななくぼ】職人の愛情とこだわりの“打ちたてそば”に出会えるお店

2023.06.21
そば道場ななくぼ さん

 「そば処(どころ)」信州。良質なソバがとれる土地が長野県内各地にみられることから、そのようにいわれています。そばは長野県の郷土料理でもあり、その作り方や食べ方は地域によってさまざま。この地域では本格的な味をいただけるおそば屋さんも数多く存在します。今回お邪魔したのは、飯島町の『そば道場 ななくぼ』さん。そば大好き町民ライター気賀澤がお店の魅力をお伝えします!

場所はJR飯田線七久保(ななくぼ)駅のとなり。こちらのお店では、なんと電車を間近で見ながらそばをいただくことができます。この日もちょうど店内から見ることができました。“ガタンゴトン”と過ぎていく電車の音。駅前ならではのローカルな雰囲気を味わうことができます。

特徴のひとつは、「いいじま手打ち蕎麦の会」の職人さんが日替わりで店長を担当されていることです。ガラス越しに職人の技を見学できるのも魅力的。そば打ちの様子を近くで見ることができるので、あっという間に時間が過ぎます。お店でいただけるのは、飯島町産のそば粉「しなの1号」を使用した“二・八そば”。味や香りが良く、打ちたての美味しさを味わうことができます。

そしてもうひとつの特徴は、そば粉を石臼で挽いていること。店主の折山誠(おりやままこと)さんにお話を伺いました。

一時休業を経て、2023年4月1日から営業を再開されたお店。この期間中に、新しく導入した石臼を使用して自家製粉を始めたそうです。技術の向上や味の研究のために、長い時間が必要だったといいます。現在もお店の方たちと試行錯誤を重ねていらっしゃるとのこと。

折山さんは「石臼で挽くそばは、またひと味違うと思います。打ちたての味を多くの人に召し上がっていただきたいです。これからもこのような文化を伝えながら、打てる人を増やしていきたい」とお話くださいました。

この日私がいただいたのは、人気メニューの「もりそば」。まずはそのままいただきます。口中に広がるそばの風味、つややかな細めの麺はのどごしが良く、コシが強めでモチモチとした歯応えです。大きめのきざみわさびが刺激的なアクセントになり、つるつると箸が進みます。石臼で挽いた打ちたてのそばは、とても味わい深くて美味しかったです。小鉢のおこわもちょうどいい量でした。

「もりそば(冷)」750円(税込)

そばの味を引き立てる“つゆ”も絶品。こちらは折山さんが毎日作っていらっしゃるといいます。つゆの元となる“かえし”には『伊那しょうゆ』さんの醤油を使用、“出汁”は昆布とかつお節を水出しから作り、和風旨味を生み出しているのだそうです。手間をかけている“つゆ”だからこそ、そばとの相性がぴったりなのですね。

この日の店長は、米山辰二郎(よねやまたつじろう)さん。多彩な職歴をお持ちで、多いときには100食以上のそばを打っていらっしゃいます。

米山さんのお話によると、「玄そば(結実し収穫されたままの殻付きのそばの実)」から石臼の回転数や製粉量を調整し、粗びきにすることで風味が逃げない、もちもちのそばになるのだそうです。黒っぽい色のそばになるのは、皮ごと挽いているのだとか。

また、標高が高く、朝晩の寒暖差が激しい飯島町はそばや米、穀物などの栽培に適しているといい、水が美味しいということも関係しているのだそうです。飯島町はまさに「そば処」ということがわかりました。

季節の野菜や果物も販売

石臼によるこだわりの製法で、打ちたての味をいただくことができる『そば道場 ななくぼ』さん。職人さんとの距離が近く、アットホームな雰囲気のお店です。

また、お店の周辺はそばの花畑と電車を一緒に撮影できる人気スポットでもあります。
おだやかな風景と美味しいそばを、ぜひご堪能ください。

【そば道場 ななくぼ】

  • 〔場所〕  飯島町七久保847-13
  • 〔営業時間〕11:30〜13:30
  • 〔定休日〕 火・木曜日(祝日は営業)
  • 〔TEL〕  0265-95-4411
  • 〔駐車場〕 10台

※土日・祝日はご予約をおすすめします。平日もご予約いただけますと、ご入店がスムーズになります。

※石臼の導入や味の改良中により、しばらくの間季節野菜の天ぷら・天丼などのメニューはお休みとのことです。詳しくは、そば道場ななくぼさんの公式ホームページをご覧ください。(2023年4月現在)

この記事を書いたライター
ライター

気賀澤絵美

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