いいじまのひと

都会暮らしから一転、移住先で得た豊かな時間

2021.04.19
山中未緒 さん

やりたかった仕事にも就けて、やりがいもあった東京での仕事。これからはキャリアを築いて東京で暮らしていく…。そんな将来を思い描いていた矢先、突然夫(当時はパートナー)から告げられた移住宣言。「本当は東京で働いていたかった。それでも気持ちを揺れ動かしたのはこの景色かもしれません」と、お話してくれたのは山中未緒さん。2017年に飯島町に移住し、夫婦で百合農家を営む山中さんにお話をお伺いしました。

都会暮らしから一転、移住を決断するまで

転職して半年、やっと手に入れた希望のキャリア。やりがいもあったという仕事を辞め、移住を決断するまでどのような思いがあったのでしょうか。

「最初に移住したいと夫から聞いた時は、他人事のように現実味がなかったです。当時は移住する気も、仕事を辞める気も全く無くて。結局、夫の説得もあって半年くらいで飯島町に移住したんです。

夫は南信州で移住先を探していて、私はその中でも子育て支援の充実と、この七久保から見える景色に惹かれて、移住するなら飯島町!と思っていました」

「移住は本当に直前まで悩んでいて…。いざ移住を決断しても、やっぱり仕事を辞めることは名残惜しかったです。ここで仕事が見つかるかも不安でしたし。でも、いざ来てしまえば仕事の選択肢がたくさんあることもわかりました。

すんなり希望の職種で働くことができたのは意外でしたね。都心で働いていた時より給与は下がりましたが、お金の使い方も変わり、使う機会も減ったので、そこは問題ないと思っています」

家族で囲む食卓には「豊かな恵み」がいっぱい

お試し移住期間を経て、2017年4月に移住。東京で生まれ育った山中さんにとっては全てが新鮮そのものでした。まず一番感動したのは「水の美味しさ」だったそう。

「移住してよかったことは”お水が美味しいこと”です。お水が美味しいとご飯もお味噌汁もすべて美味しい!それに今は家族が食べる分の野菜も庭先の畑で作っています。家庭菜園も奥が深くて面白いですし、自分で作った野菜も食べられる。これってすごく贅沢だなと思っています。

家族で食卓を囲んだ時に美味しいご飯が食べられるって何よりも豊かな時間ですよね。あとは肌の調子も良くなりました。美味しい水と空気のおかげかな。逆に驚いたのは水道代が高いことですね」

移住して、1年後に結婚。その翌年には第一子となる長男(ときくん)も誕生しています。現在、1歳半になるお子さんと、毎日のように地域の子育て支援センター(いいっ子センター)に通ったり、自宅の庭で遊んだり。

移住をしてよかったと感じる瞬間は子育てを始めてからより一層増えていったそう。

「コロナ禍で外出しにくい時代になりましたが、そんな中でも外でのびのび遊ばせてあげられています。土手を上り下りしたり、泥んこになって遊んだり、いつも走り回っているのでうちの子は運動神経も抜群!都会では味わえない環境で子育てができることに贅沢さを感じています」

夫婦で二人三脚、歩み出した農業への道

東京の企業に勤めていたパートナーは新規就農の道を選択。山中さんは移住当初、希望の職種で再就職をしました。現在は、夫婦で新鉄砲百合(花卉)農家を営んでいます。

「初めて農業をやりたいと聞いた時はさすがに驚きました。『農業=大変そう』いうイメージしかなくて。でも夫ができると思うなら、きっとできると思っていました。

昨年(2020年)から本格的に夫のサポートをし始めたのですが、やっぱり大変…!でもこの大変さは会社員もきっと同じで、結局はその人のやる気次第かなと思いました。

今は夫が畑の管理や収穫を、私は作業小屋で収穫した百合を束ねたり直売所への出荷を担当するなど仕事を分担しています」

「百合の繁忙期は夏。逆に冬は時間があるので、家族で過ごす時間が多いんです。朝も夜も家族みんなで食卓を囲めてゆっくり過ごせるのが、農家をしていてよかったところだなと思っています。

今はこの町に惹かれたきっかけでもある景色の中で暮らしています。この物件は夫がお世話になっている方にご紹介いただいたのですが、もう本当にいい場所。

こうして、自分がいいなと思う景色や場所で暮らせることも移住してよかったと思うところです」


【編集後記】

地域の「いいっ子センター」の他に、陶芸や生け花、そば打ちなど様々な町のサークルにも参加しながら飯島町での暮らしを楽しんでいる山中さん。積極的に地域と関わることで移住先での暮らしもより楽しめるのかもしれません。


お話をお伺いしたひと:山中未緒さん
出身:東京都
移住した年:2017年
飯島でお気に入りの場所:里の菓工房のテラス席(アルプスの山を眺めながら、ケーキを食べるのが至福のとき)
移住検討者にメッセージ:あまり考えすぎずに直感を信じて移住してみるのも大事!迷ったら移住者に会いに行って話を聞くのがおすすめ。

この記事を書いたライター
ライター

石川妙子

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