いいじまのひと

会社員から古民家カフェのオーナーに移住先で見つけた新しい自分

2021.05.19
後藤綾子 さん

東京生まれ東京育ち、当たり前だった都心での仕事と暮らし。「東京の生活はとても便利で、自分の暮らす場所はここだ!と思っていました」とお話してくれたのは後藤綾子(ごとうあやこ)さん。2018年に飯島町に移住し、「古民家カフェ水土里(みどり)の樹」を営む後藤さんにお話をお伺いしました。

ひとめぼれした本郷からの絶景が移住の決め手

東京から飯島町へ。まったく違う環境への移住。決断に至るまでにどのような思いがあったのでしょうか。

「移住を意識し始めたのは7年くらい前です。東京では大手企業に勤めていました。やりたかった仕事というよりは、生活費や子供の養育費を稼ぐためです。家と会社の往復を繰り返す毎日。『このままでいいのかな?空気や景色のいいところで暮らしてみたいな』と思うようになったのが50歳を目前にした頃です」

「ひとり暮らしの母もいることから、移住先は東京近郊で探していました。そのうち上伊那郡がヒットし、たまたま立ち寄った不動産屋で飯島町の中古物件を紹介されたんです。この時、本郷第1地区から見た中央アルプスと南アルプスのふたつのアルプスに囲まれた絶景に「ここだ!」って。夫も移住には前向きで、家族で移るつもりでした。長男は大学生、次男は小学生。下の子だけでも自然豊かな環境で子育てをしてみたかったのもあります。そんな時、夫が仕事の都合ですぐに会社を辞めて移住する訳にはいかなくなったんです。でも私の気持ちは固まっていたので、夫よりも先に次男と2人でこちらへやって来ました」

田舎あるある!?戸惑った新生活と自分の「好き」がつまった仕事

移住後、空気や水のおいしさを毎日感じられるところがよかったという後藤さんですが、地域活動の多さに驚いたようです。また現在中学2年生の息子さんも、当時は戸惑っていたそう。

「次男は最初の一年間、『東京に帰りたい』と毎日泣いていました。友達の家に自分の足で歩いて行けないことがショックだったみたいで。今は友達とゲームで会話して遊んだり、息子なりに田舎暮らしを楽しんでいます。

また近隣住民の皆さんには、移住当初から声をかけてもらい心強かったです。最近は『綾子さん』と名前で呼んでくれる人も増えてきて、少しずつ溶け込めてるかなと感じます」

移住して1年後の2019年3月、「古民家カフェ水土里の樹」をオープンされた後藤さん。移住前に都内のイタリアンレストランで料理の勉強に励んだそうです。

「生計を立てたいと考えたとき飲食店は未経験でしたが、お菓子作りや人と接することが好きなので、『カフェをやってみたいな』と思ったんです。こちらのお店ではランチタイムにピザやパスタも提供しています。3日前までの予約制ですけど、貸切のようにゆっくりとお食事や風景を楽しんでいただけると思います」

お客さまに最高のおもてなしを 自然を活かした理想のカフェに

現在は家族全員で飯島町に移住。最初は移住に気持ちが揺れていたご主人も、この暮らしを決断してよかったと思っていらっしゃるとのこと。家族がそろい、飯島町での生活も今年で4年目。後藤さんには挑戦したいことがあるそうです。

「当カフェのパスタやピザに使う『スペルト小麦』は小麦の原種にあたり、アレルギーを持っていても7、8割の人が食べられると言われています。その栽培を始めて4年目、ゆくゆくは自家栽培の粉をメニューに活かしたいです。次男には生まれた頃から食物アレルギーがあったので、そのようなアレルギーをお持ちの方にも、スペルト小麦なら大丈夫!と感じていただけたら嬉しいです。また、アレルギーまでいかなくても、小麦製品を口にすると膨満感や眠気、肌荒れなどを起しやすい方にも、スペルト小麦を試して頂きたいと思います。

「それから、これからやりたいことは、家の周りの広い敷地をすてきな庭園にすることです。自分の手で作り上げたくて、今ガーデニングの勉強中なんです。自然の風景と華やかな木花で彩られたカフェ。訪れたお客さまが、お食事だけではなく空間や景色、ここで過ごす時間をトータルで楽しんでもらえるような場にしたいですね。そして、いろんな方との出会いや会話が私にとって大きな喜びです。ひとりでも多くの方にカフェと飯島町を知ってもらい、ぜひいらして欲しいと思います」


【編集後記】

後藤さんの手がける庭園、完成がとても楽しみです!スペルト小麦使用のお料理や、後藤さんイチオシの本郷から見える景色にも注目です。

飯島町にお越しの際は、「古民家カフェ水土里の樹」さんにぜひお立ち寄りいただき、自然の魅力を見て•食べて、ご堪能ください!


お話をお伺いしたひと:後藤 綾子さん
出身:東京都
移住した年:2018年
飯島でのお気に入りの場所:本郷第1の標高の高い場所(移住のきっかけとなった場所。ふたつのアルプスがパノラマのようで感動したとのこと。リフレッシュしたいときには散歩へ出かけるそう)。
移住検討者にメッセージ:移住は大きな決断です。今まで築き上げてきたものから離れて心細いこともありますが、飯島町に来てよかったと思っています。勇気を持って踏み出すことが大事。

この記事を書いたライター
ライター

気賀澤絵美

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