【伊那谷】 暮らしの覚え書き #2 〜みんなで作って楽しむ文化〜
2020年春、都心での会社員生活を卒業。目的も志もなく、ただ美しい土地にひかれてやってきました。「何かをするために」でなくても移住は楽しめる!私の伊那谷暮らしの覚え書きです。
長かった冬が終わり、ようやく空気が春へと変わり始めました。この春、飯島に移住して丸2年になる、ハルカです。今は石場(いしば)建てで大きな土間のある、平家の古民家に暮らしています。
私が伊那谷の暮らしですてきだと感じることのひとつが、なんでも自分たちで手作りして楽しむ文化があること。それはとてもオープンな雰囲気で、あちこちから仲間があつまり、移住者も滞在者も受け入れてくれる、あたたかい時間。私はこの冬もお誘いをいただいて、友人たちとお味噌仕込み、お醤油搾りに参加しました。
お味噌仕込み
友人の古民家(中川村にある、古民家 七代さん)で仕込む手作りのお味噌。特に、空気の澄んだ冬に仕込むお味噌は「寒仕込み」といって、とっても美味しくなるのだそうです。茹でた大豆をつぶして、お塩と米麹を混ぜ込んでまるめ、味噌甕(がめ)につめます。甕はそれぞれの自宅に持ち帰って発酵させ、11月頃に味噌開きをします。
今回は、昨夏から仲間と一緒に畑で育てた大豆、お世話になっている農家さんが作った無農薬のお米を材料に。そのお米に麹を仕込むところにもお手伝いに行かせてもらった、スペシャルなお味噌。秋の味噌開きが楽しみです。
お醤油搾り
約一年かけて、友人宅の大きな樽で発酵・熟成させてきた諸味(もろみ)を、「絞り師さん」とともに搾ってお醤油に。諸味は、大豆と小麦からなるお醤油麹に塩とお水を加えたもので、意外なことに、夏は日光の当たるハウスにて高温で発酵を進めるのでした(冷暗所で発酵させるお味噌とは対照的)。
お醤油搾りの当日は、お湯と混ぜた諸味を布袋へ注ぎ、専用の木桶に並べてゆっくりと圧搾します。大釜で火入れし、アクをとって完成。旨味がしっかりあるお醤油!一部は加熱せずに「生醤油」としても楽しんでいます。
みんなが集まるところには必ずおいしいものの持ち寄りがあるのも嬉しいところ。かまどの火で暖をとりながら、お餅を焼いたり干し芋を炙ったり。
衛生的な工場で大量生産されるものとは違う、おおらかにみんなの「手」で作る発酵食品。失敗するどころか、こんなにおいしくできるなんて!と驚きます。みんなの手と楽しい気持ちに触れる分、豊かに醸されていくのでしょう。
そうそう、今は昨年仕込んだお味噌をおいしくいただいていますが、味噌仕込みに同席してくれた赤ちゃんの小さな「手」にも触れてもらい、「福」を入れていただいたのでした!