【伊那谷】 暮らしの覚え書き #4
〜 栗拾い ご縁と美しい時間 〜
2020年春、都心での会社員生活を卒業。目的も志もなく、ただ美しい土地にひかれてやってきました。「何かをするために」でなくても移住は楽しめる!私の伊那谷暮らしの覚え書きです。
紅葉がゆっくりと山を降り、果樹園には豊かな恵みがいっぱいの季節になりました。
今年も実りの秋をたっぷり楽しんでいる、ハルカです。
移住前のいつか、「信州 里の菓工房」さんで、モンブランをいただきながら
「飯島町は栗の産地なのか、栗拾いなんて楽しそう!やってみたいな…」
と、ぼんやり思っていた私に嬉しいご縁がつながって、この季節に栗拾いのお手伝いをさせていただくのも、3回目になりました。
月誉平(つきよだいら)栗の里、という美しい名前の大きな栗畑。
ここで私は9月初めから10月初旬まで、お仲間のみなさんと一緒に毎日栗拾いをしました。
朝8時、輪になってラジオ体操から始まる一日。
熟れて開いたイガから落ちた栗を、一つ一つ拾って収穫カゴへ。専用の手袋でイガも集めます。ときに無心に、ときにおしゃべりしながら。多いときには25人くらいで畑をめぐり歩き、カゴがいっぱいになると運搬車のコンテナにごろごろーっと空けます。
腰を折って栗を拾うのも、重くなったカゴを持ち上げるのも、高低差のある畑を移動するのも、なかなかの体力がいるのですが、お仲間は70代以上が中心。他にも、20キロ以上になるコンテナの積み下ろしや、一日に1トンを上回る量の選果・出荷などなど…力仕事を笑顔でこなすお仲間のみなさんに感謝と尊敬ばかりです。
十数年前、荒廃が懸念されていた農地を地域の有志みなさんで栗畑へと再生され、今や一面の美しい栗畑となった月誉平。
大きくてつやつやの栗を見つけて拾うのはそれだけでとても楽しいし、お茶の時間にお煎餅や美味しいお漬物の差し入れをいただきながら、作り方を教えてもらったり…
強い日差しに大汗を流した夏日から、秋雨の中レインウェアを着て1日を過ごす日を経て、やさしい秋風と木漏れ日の中でひと休みできる日まで。栗の木の下で季節の変化を感じていると、平和で美しい映画の中にいるような気分になります。
実は今年の夏、私は空き家の古民家を購入しました。役場の方から紹介をいただいたこの家、偶然にも栗畑のすぐ近くにあります。ここに住むのはまだまだ先になりますが、不思議なことに、未来のご近所さまたちと毎日顔を合わせて体を動かしていたのです。いろいろなご縁に、嬉しい気持ちと感謝でいっぱいの私です。
月誉平栗の里で拾った栗は主に、信州里の菓工房さんへ出荷されています。関東圏や都心でも催事出店がありますので、美味しいモンブランや栗菓子、ぜひ楽しんでくださいね。
【J A上伊那さんの詳しい記事】
(「信州伊那栗」最盛期)
【信州里の菓工房】