いいじまのひと

海外在住の頃の目標、ヘアサロン「Muir(ミューア)」開業に向けて空き家をリノベーション

2021.11.10
上吉原香里 さん

今回は、地域おこし協力隊として活動する上吉原香里(かみよしはらかおり)さんにお話しを伺いました。海外で美容師をしていた頃、アメリカで出会った久林申弥(くばやししんや)さんと結婚。2018年に帰国し、飯島町に移住。現在は旅宿とヘアサロン、シェアキッチンの複合施設「Muir(ミューア)」の開業を目指して、自ら空き家のリノベーションを行っています。

帰国後は移住先で自分たちの店を開きたい

海外で美容師をしていた上吉原さんは、夫の久林さんとアメリカで出会い結婚。美容師から地域おこし協力隊という仕事を選んだのはどのような思いがあったのでしょうか。

「もともとは夫とアメリカでヘアサロンを開く予定でしたが、ビザ等の関係で帰国が決まり、『それなら日本で自分たちらしいお店を開こう!』と軌道修正しました。美容師は普通、既存のお客様が来店可能な場所に開業しますが、私たちのお客様は海の向こう。そんな時に移住した先の飯島町で『地域おこし協力隊』という仕事を教えていただきました。地域の方々との積極的な交流が可能な上、私たちの事を知ってもらうための準備期間にうってつけだ!とすぐに飛びつきました。『外国帰りで、よそ者だけど、平凡な人たちです』と知って欲しかった(笑)」

帰国後の移住先は憧れであり二人の出身地の間でもある「長野県」と決めていたそう。

「外遊び好きには最高の地である長野は憧れでした。しかも私が栃木県出身で、夫が兵庫県出身。その丁度真ん中が長野県だったことで、移住先は長野!と決めていました。ただ北にするか南にするかで悩んでいた際、お客様で長野に移住していた方から伊那谷を熱く勧められ、『まずは実際に行ってみよう』ということに。その時ちょうど気になっていたトレーラーハウスがある飯島町に来てみたら、なんという絶景と中央アルプスの存在感!すぐに『ここがいい!』と決めるという、かなり短絡的な決め方でした(笑)」

人のぬくもりに触れられる町

上吉原さんの地域おこし協力隊の任務は都市農村交流事業。現在は民家をリノベーションし、ヘアサロン兼旅行客向けの旅宿として開業に向けて準備をしています。移住して何よりもうれしかったのは、『町の人の温もり』だったそう。

「飯島町は町内至る所が絶景ポイント。中央アルプスも季節ごとの風景もとにかく見えるものすべてが絶景で。でもそれ以上に人が温かい。この空き家を改装している間も、近所の方々が『調子どう?』と顔を出してくれるし、気にかけてくれています。移住者に優しい町だなって。役場の方々もイメージしていた『事務的な人』は全く居らず、想像をサラッと超えて寄り添おうとしてくれるので、面食らう程感動したのを覚えています。海外では邪険に扱われるのが普通だったので泣きそうになりました」

「あとはお水が美味しいからか、食材がすべて美味しい!お米も、野菜も本当においしくて、幸せ〜!と日々思います。地元の方から『なにもないでしょう』ってよく言われますが、いやいやこんな贅沢は中々ありません!と伝えたいのに中々伝わらないんですよね」

2022年3月に地域おこし協力隊を卒業したあとは、いよいよ目標のヘアサロンの開業へ。

空き家をリノベーションしてヘアサロン併設の旅宿に。さらにシェアキッチンも含めた複合施設にしたのには、どのような狙いがあるのでしょうか。

「私たち夫婦はバイクでキャンプツーリングに行くのが趣味なのですが、バイク好きにとって休みの日の晴れは貴重です!ライダー仲間から『天気が良い!ツーリングに行こう!あ、でもカットの予約入れちゃったからまた今度か…』なんて話をよく聞きます。なら、旅好きでバイク乗りの自分たちがヘアカットも宿泊も食事もできる場所を作っちゃえば良いのでは?と」

「それに、長野はバイクライダーには垂涎の場所が沢山あります。ただ関西圏のライダーにはビーナスラインや軽井沢、上高地などまで足を延ばすにはもう1泊欲しい距離。なら一歩手前でツーリングルートとしても人気の伊那谷で宿泊が出来れば最高です。ヘアカットという『用事』も済ませられて、食事も出来て、お泊まりも出来るよ!となれば、『カットがてらウキウキ長野旅行♪』がツーリングの目的にもなり得るのでは?と思いました。中京圏よりも更に西の方々の選択肢が増えることになります。車の旅や、電車旅※、自転車旅などでも同様です」(※最寄りの七久保駅まではなんと徒歩1分)

「シェアキッチンは、飲食業を始めたい気持ちはあっても、初期投資で二の足を踏む状態の方に本格的な起業へ向けたステップアップの為にお貸出しする予定です。私たち夫婦が協力隊制度や、町の皆さんに応援していただいた分、今後は微力ですが応援する側で町の人の温かさを繋げていければと思っています」

「上伊那は自転車の変態さんがいっぱいいる(笑)」と語るのは、同じく地域おこし協力隊でアウトドア事業を担当している夫の久林さん。

「僕は地域おこし協力隊のアウトドア事業に携わっていて、自然を活かした町おこしをしています。上伊那って、実は自転車の変態さんがいっぱいいるんです!出勤前の早朝から乗り回す人や、自転車日本一周経験者などがたくさんいる。さすが長野! 県もサイクルツーリズムの普及に積極的で、僕自身もロードバイクやオフロードバイク等の2輪が大好きです。そこで町内(田切地区の孔子廟)にマウンテンバイクのコースを町の皆さんと作りました。

自転車が好きな大人はもちろん、子どもも気軽に乗れるような場所にしたくて。ゆくゆくは全国からマウンテンバイク好きが集まるような大会が開けたらいいなと思っています。

そして、この施設はそんな旅やアウトドアが好きな人々が集まるような場所になったらいいなと思っています」
(マウンテンバイクコースの様子はこちらから)

飯島町の魅力をそろって語ってくれたご夫婦。楽しみにしているヘアサロン兼、旅宿の開業日は来春の予定だそう。取材に伺ったこの日も壁の塗装作業中でした。

「まだ作業段階でオープンの具体的な日取りは決まっていませんが、飯島町での開業は地域の皆さんからとても応援していただいています。2022年の春のオープンを目標に頑張って仕上げていきたいと思っています」

少しずつ着々と出来上がっているMuir(ミューア)。来春の開業に向けてシェアキッチンを利用して飲食業にチャレンジしてみたい方も募集しているそうです。

興味がある方は飯島町の地域創造課 魅力的デザイン係(電話:0265-86-3111)、または上吉原さんのインスタグラムからDMにてご連絡ください。

【編集後記】
宿の裏手にとても広い芝生のお庭がありました。上吉原さんはヨガのインストラクターの資格もお持ちで、今後は芝生の上でのヨガ教室も視野にいれているそう。天気のいい日のヨガは気持ちよさそうですね!宿が開業したらぜひ遊びにお立ち寄りください。


お話をお伺いしたひと:上吉原香里さん
出身:栃木県
移住した年:2018年
飯島でお気に入りの場所:田切駅の近くにある『ひねもす』というお蕎麦屋さんが美味しくてお気に入りです。
移住検討者にメッセージ:先ずは役場移住担当者に相談するのがかなりお勧め。安心感があります。


この記事を書いたライター
ライター

MAKI

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