いいじまのひと

子どもとの時間を大切に「つながり」のある場所づくり

2022.11.30
宮下正子 さん

伊那市より移住後、2019年から千人塚公園の指定管理をされている宮下正子(みやしたまさこ)さん。人気なキャンプ場としても有名ですが、最近ではイベントを通して町内外からも注目を集めている千人塚公園。どんなきっかけで、またどのような思いで活動をされているのか、宮下さんにお話をお伺いしました。

多種多様な職歴だからこそ 今の仕事に活きている

結婚を期に飯島町へ移住。現在、2歳から中学生までの5人のお子さんを育てながら働いている宮下さんん。今の暮らしにいたるまで、どのような背景があったのでしょうか。

「夫の実家が千人塚というのもありますが、彼のご両親が素敵だったんです。なので、“結婚後は飯島町に来よう”と決めていました。移住に迷いはなかったです。祖父母やおじさんを合わせて、現在は10人家族。

飯島町に移住後は、接客業や会計業務、エステなど、さまざまな職種に就いていました。どれもその時、自分がやってみたいと思うもの。最終的には経験したものが全て現在の仕事に活きていると感じています」

きっかけは子育て中に仕事をするなかでの“気付き”

多岐にわたる職種をこなしてきた宮下さんですが、今の仕事をするきっかけとなったことがあったのだそう。

「前職では夫の経営する飲食店で会計や接客をしながら、二人で切り盛りしていました。お店が23時閉店だったので、帰宅は朝方になることも。あるとき、その生活が寂しくなってしまったんです。理由は子どもたちと一緒に過ごす時間と、彼らが友達と遊んだり習いごとをしたりする時間を作ってあげられていなかったということ。

“子どもたちが遊べる場所を作ってあげたい、じゃあ作っちゃおう!”と思ったのが今の仕事を選んだきっかけです。

当時の地域おこし協力隊でもありプロのパラグライダー選手でもある呉本圭樹さんとの出会いを機に、千人塚公園でのアウトドアのイベントが実現しました。『飯島町と千人塚を体験・体感してみよう』というコンセプトで、サップやパラグライダー、マウンテンバイクなどのアクティビティをメインに、飲食店やクラフト店も参加して開催したのが第一回目のイベントです。

子どもたちも手伝いをしながら、間近で見てもらい、良い影響を与えられたように思います。このような催しを続けていくなかで、飯島町から指定管理のお話をいただきました。地域の方たちが、いろいろな人とのご縁をつないでくださった。なので、楽しいという気持ちしかありませんでした」

「ただいま、おかえり」を言い合える幸せ

「つながり」や「ご縁」を強く感じているという宮下さんですが、千人塚を拠点に生活するなかで独特な地域性を感じたそうです。飯島町での暮らしや子育てについてお伺いしました。

「暮らしも子育ても、まさに“つながり”です。結果的にこの千人塚が、自分に自信をくれました。いろいろな方とつながることによって、知識を得ることができます。そして、それを誰かに伝えたあと形になったのを見ると、間違っていなかったんだという確信が自信になりました。

子育てにおいては、地域住民の前向きな「お節介度」の高さ。これが居心地が良く嬉しかったです。子どもたちに平等に手を差し伸べてくださった学校の先生、子どもの友達の親御さん、そして地域の方たち。私とつながってくれたから、子どもたちとも関わってもらえる。距離の近さや信頼感は、この地域ならではだと思います。

今の仕事を始めてからは子どもたちとの時間が圧倒的に増えたし、彼らの顔つきも変わりました。些細なことでも会話が増えたので、働きながら幸せを感じています」

誰でも使える癒しの場所づくりへの挑戦

お子さんとの関わり方にも変化があったという宮下さん。今後、挑戦したいことがあるそうです。

「千人塚にとどまらず、地域や世代を越えて、多くの人が使える場所づくりをしたいです。例えば、学校の総合学習や個人スペースとして使えたり、ネットのツリーなど遊具でも遊べたりする施設。

私の子どもたちは、それぞれが素晴らしい個性をもつ反面、弱い部分もあります。中には、自分に少し自信がない一面を持っている子もいます。そのような子でも親以外に話のできる人がいるような、安心できる居場所を作ってあげたいです」

「最近は子育て中のお母さんたちとつながる機会があって、ここに集まる皆さんは“何かをやりたい”という気持ちを持っていらっしゃる方が多いんです。そこで、そういった方たちや登校が困難なお子さんが使えるような場所づくりのサポートもしています。

私の過去の経験が活きている結果と、大きな声で表現できる環境が、こうして何かにつながっているのではないでしょうか。私自身が体感しているから伝えられる。その人に寄り添う、というよりも私がその人を知りたい気持ちの方が強いかもしれませんね。これからも『つなぐ場所』として、ありたいと思っています」

最後に、飯島町へ移住を検討している方へメッセージをいただきました。

「千人塚へ来て、私に声をかけてください!!いろいろな人にお伝えし、つなげます。どこにも誰にも負けないお節介を体感してください(笑)そこから町の良さがきっと見えてきます!!」

編集後記

「千人塚公園の魅力は、訪れた人それぞれが感じるもの」そうお話しされる宮下さん。その人がどう感じるかということに気付かされました。

また、お子さんやご家族や地域の方に対する宮下さんの特別な想い、指定管理の仕事を楽しまれている様子が印象的でした。今後、千人塚公園はもっと楽しい場所になるのではないでしょうか。宮下さんの挑戦、私も今から楽しみです。

 施設情報
【ホームページ】https://www.senninzuka.site
【インスタグラム】https://www.instagram.com/sen_ninzuka.official

この記事を書いたライター
ライター

気賀澤絵美

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