いいじまの日々

【おいしい果物栽培を学ぶ⑪】
~4月摘蕾や花摘み~

2022.06.29
伊藤 沙季 さん

2021年4月から飯島町で地域おこし協力隊をしている伊藤です。このコラムでは、農業初心者である私が感じた果樹栽培の魅力や体験したこと、日々の学びについて書かせていただきます。


TOPの写真は庭に咲いていたチューリップです。急に咲いたように見えますが、きっと土の中でずっと準備をしていたのだと思います。そして誰に教えられる訳でもなく、春になるタイミングで花を咲かせる。『準備とタイミング』は、何事においても最も重要で難しいことだと感じる今日この頃です。

4月は以下の梨についての作業を紹介します。

  • 摘蕾(てきらい)、花摘み、開葯(かいやく)
  • 防除
  • 交配

【摘蕾、花摘み、開葯について】

「摘蕾(てきらい)」とは1年枝と言って昨年伸びた部分の枝についた蕾を取る作業のことを言います。

ここで重要なのが芽では無く、”芽から出た蕾を取る”こと。芽ごと取ってしまうと花が咲かず実がならないだけではなく、葉っぱも無くなってしまうからです。

なぜ1年枝に実をならせないかと言うと、木の枝の先端である1年枝に実を成らせると枝の角度が下がってしまうからです。枝の先端を高くし、木が上に伸びようとする性質を利用することで、枝の先端まで栄養を行きわたらせ、木の形も整えながら、良い実をならせることができます。(1年枝に実をならせる品種もあります)

「花摘み」とは、花粉を取るための木に咲いた花を摘むことです。多くの梨は自分の花粉では交配できないためです。交配用の木(交配樹)も美味しい実をならせることができますが、剪定の仕方などが異なり、専用の木として扱われています。

「開葯(かいやく)」とは交配樹から摘んだ花を上の写真のような機械に入れて交配に用いる花粉を作る作業のことを言います。花びら、雌しべ、雄しべをばらばらにし、ふるいにかけて、雄しべの先の花粉の入った葯を集め乾燥させ、花粉を作っているところです。

昼間は外で花摘み、夜は開葯作業。ドタバタですね。ちなみにピンクの粒つぶが葯なのですが乾くと黄色の花粉が見えます。

【防除について】

SS(スピードスプレーヤ)と言う機械に乗って殺菌剤や殺虫剤を撒きます。

昨年の収穫の時、病気で葉っぱが落ちてしまい思うような果実が収穫できず、出荷できなかった農家さんがいる事実から、高温多湿の日本で農薬散布は重要な作業だと思い、慎重に取り組みました。

【交配について】

花が写真よりも咲いたら「梵天(ぼんてん)」と言う道具を用いて交配(花に花粉をつける)をします。

左が普通の「梵天」、小さいので花1つずつを狙って交配することができます。どの花に実をつけるか瞬時に判断できる人用と言った感じでしょうか。

右が「らくらく梵天」、値段も普通の梵天より高いですが、大きいので一度に複数の花に花粉をつけることができます。

後で、実になってから減らせば良いのでざっくりと交配したい人用。

交配はタイミングが難しく、果樹園の花と天気予報と温度計を見つめながらひたすら心配する日々でした。

ちなみに洋ナシは花より葉っぱの方が早く生えてきます。

和梨の花もきれいですが、洋ナシの新緑の緑もとってもきれいです。

【今月の1枚】

こちらは我が家の家庭菜園、右側のうねうねの畝にはジャガイモが、左側にはアスパラが植わっています。失敗したらドッグランにでも使ってもらおうくらいの気楽な気持ちで進めて、仕事の息抜きにしたいと考えています。

さて、飯島町に来て1年が経ちました。地元に残っていた方が良かったのか、飯島町に来て良かったのか、一度に両方経験することはできないので比べることはできません。どこで生活していたって嫌なことが起こる可能性も、ラッキーなことが起こる可能性もあるので、今の生活に幸せを感じながら、過ごしていこうと思います。

この記事を書いたライター
ライター

伊藤沙季

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